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十二代目 宇右衛門の廣瀬文彦が語る ウエモンのよもやま話

2017年7月29日(土) 19:01

申し送り

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ボールペンでは無く、隣のバネ秤の方だ。ボトル入りの鎮痛剤の使用量を計る専用のものだ。昨日午後梶本看護婦が薬液の残量を調べるのに使っているのを見て、「ん?ミニチュアの様な秤、孫のリンと遊ぶのに持って来いだ!」と思い付き所望したのだ。
「大丈夫と思いますけど、先生の許可が必要なので今夜担当の看護士に話しておきます。」
そして翌日早朝咳と痰で苦しそうに咳き込んでいる所に夜担当の赤松看護師が様子見に来た。呼吸が落ち着いた頃「ところで赤松さん、この小さなバネ秤の事なんだけど...」「あぁ、欲しいんだって?聞いてるよ!」
そして朝、中江先生の弟弟子(後輩先生)の榊原先生が一人で部屋にやって来て「首からの点滴管抜きますネ」とおっしゃり作業を進めながら「今日は血圧が高めの様だけど、心臓のドキドキなどありませんか?」
「そう言ったドキドキは無いし、若い女の子を見てもドキドキしなくなったなぁ⁉︎」
榊原先生は「広瀬さんは沢山経験して来たからじゃ無いですか!」とヨイショてくれる。
調子に乗り「先生とは違って60才から下は皆んな若い子で守備範囲が広がっちゃったのかな⁉︎」
榊原先生は私の愚にもつかない下らない話しに付き合い「ボクなんか澤教授の前に出ただけでドキドキですよー」
いつも中江先生の後を小さくなって付いて歩き、殆ど話さなかったけれど、
磊落で気さくな若先生だ!(好感度急上昇)更に「ところで、あの小さなバネ秤、何に使うんですか?」「へー、あんな秤孫さんと遊ぶ道具になるんですか〜」
本当に先生に話が伝わってる‼︎‼︎
そして昼担当の谷口看護婦が昼過ぎ「広瀬さん、秤持ってきたよ〜!お孫さんと遊ぶんだって?何して遊ぶの?」と持ってきてくれた。

阪大病院凄い!こんな些細なことでも完璧に申し送られいる!

こんな事で驚く勿れ!
前回の入院中、一度薬の飲み間違いがあった。それからという物三度の病棟移動は内服薬の看護師管理になった。
こんな事もあった。夕食時に看護婦が入ってきて「あら?広瀬さんゴハンのお供?」と、塩辛を食べているが見つかってしまった。
「その外のお供は?」とやんわり聴取。「梅干し、コンブの佃煮、ふりかけ...」
「広瀬さんは心臓で入院していて、塩分制限も治療の内ですよ〜‼︎」それからというもの、転棟の度「ゴハンのお供」を指摘される。

何れも、患者の平癒、快気を願って日夜努力をしていればこその親心だ‼︎

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2017年7月28日(金) 18:56

生還!

今日7/28昼、一般病棟(個室)に戻る。
手術は25日午前8:45からだ。
そして手術台へ名前、手術の部位など自主申告させられる。
(死刑囚も突然その日の朝告げられ、粛々と刑場に向かい滞り無く執行されるらしいが粛々と物事が進んで行く事を実感!)
ものの10分程で意識が無くなる。
目が覚めて枕頭の時計を見ると4:半だ。夕方とか...!勿論ICUだ。
まず鼻から栄養チューブ。口には呼吸チューブ。この呼吸チューブが曲者。呼気のタイミングが合わず、同時に痰が酷く息が出来ていない様な感じ。痰を出そうと咳き込んでみるもスカスカ空気が抜けて、どうにもならず苦しい!そんな未知の相手との戦いが2時間ほど続く!
それからが新たな戦いがすぐ始まるのだ。
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手術をした位置が左胸のすぐ下。
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横切りで長さ10数センチ。ブラジャーをすれば傷跡が隠れるくらいの位置だ(オレはブラはしないけどね!年を重ねれば、自然と隠れるか...)。傷は小さいけれど肋骨を一本切っているらしく、そこが咳をする度に激痛が襲う!
どれ位の頻度の激痛に悩まされたか...計算して見よう。
ローソンセレクトティッシュ一箱320枚(160組)×1.5箱÷10時間÷60分÷4(一回平均四度は痰が出る)この頻度で咳のための激痛に一晩悩まされる!
午前4:30看護婦に愁訴すると飲む鎮痛剤を出してくれた。そんなに我慢しないで早く言ってくれれば!だって(抵抗する気力無し)。
2時間程すると痛みが和らぐが咳をする時は同じの様だけど何とか頑張れる。その間幾つかの動きを要求される。
手術着から病衣に着替える時だ。
「ハイ広瀬さん身体を右に向けて見て⁈私も手伝うから!」
「う〜〜痛い!けどよっこらしょっと‼︎」
「広瀬さん力強いね。何か格闘技やって居たの?力強いわ!」
「そんなのやって無いけど百姓だから」
「ヒャクショー?」
「そう農業で牛を飼ってた!」
「え〜、虫を飼っていた?」
「ムシじゃ無くウシだ!」
「ヘェ〜むしだ」
全く噛み合わん...⁉︎
「だから、ムシじゃ無くウシ、ウシ、ウシ‼︎」
「ウシ⁈じゃあ牧場だ!すごいね〜〜」俺の痛いのを尻目に驚きの声をあげる。無邪気だ!
苦しみつつも、酪農教育ファームの必要性を文字通り痛感する。頑張るぞ〜〜‼︎!
午前6:半、少し痛みも和らぎまどろみ始める。
咳と痰は依然と出るが、強靭な心をもっているオレにはガマンができる。とはいえ、午後家内が来てくれた頃には、目元、目尻に半分乾いた目ヤニが付いて居て、何も言わずそっと拭ってくれるのであった。
体には胸からドレン。オ○ン◯ンには導尿管。その他首、両手首、背中など7〜8本の点滴チューブ。酸素マスク。一本の指先には血中酸素濃度の測定器などが付き、お茶の水博士が鉄腕アトムが誕生させるシーンを彷彿とさせる姿だ⁉︎
筋骨隆々と看護婦も認める体⁉︎のせいか、26日午後2時、集中管理室とでも言うのかCVCU室に移動させられる。ICU滞在時間は丁度24時間余り。
その後すぐにベッド横に足を下ろし腰の上げ下げ!
「車椅子大丈夫?」と有無を言わさない看護婦の命令に「ハイ⁉︎」と素直に頷くオレ‼︎
早速車椅子に乗せられ、心電図と胸部レントゲンへ...
クタクタだ!!!
CVCUのベッドに戻るなりダウン!
その間も痛み止の薬の要求配分が頭にセットされると、苦しみながらも咳と痰も器用に排出できるようになると、咳き込むオレに「ハーイ広瀬さんガンバレ!」「ハイその調子!」「上手、ジョーズ!」「ハーイよく出来たね!」「頑張ったね!」と、拍手して貰えた。何か複雑...
午後3時に家内が来てくれ、あちこちから様子伺いのメールた電話を頂いた様だ。
一人では生きて居ない。何処かにオレの事を気にとめてくれている。
楽しき哉人生!嬉しき哉人生!生きていればこそである。

そして27日が過ぎ、28日の朝が来る。
中江先生の回診があり、その後ドレンと導尿管が抜け、点滴も2本3本と外れ残るは二本のみ!
そして今日28日昼一般病棟(個室)に移る!
どうだすごいだろ〜!超特急だ!

中江先生にお聞きすると、執刀医は堂前先生、移植は澤先生と堂前先生、縫合が中江先生との事。

オレは老後を取り戻したぞ〜〜!

先生、看護師さん、コーディネーター、そして気に掛けて下さる皆さんありがとう!

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2017年7月25日(火) 05:43

アイウイルムバックアゲイン‼︎

いよいよその日を迎えました。
昨日澤先生から、今回の手術の最終レクチャーを受けた。
教授退出後、堂前先生から直前の心配な事など聞かれました。
「首を洗って待って居ます。」と言うと「首はそこそこでいいですが、切るのは胸なので、胸を良く洗って置いて下さい。」
「それじゃ頑張りましょう!」と言う優しい言葉を頂きながら「寝てるだけなんで、お任せです。」と私。「術後頑張るのはご本人ですよ!」と、軽く諌められました。
そうだ、術後頑張ら・ネバ‼︎
そして、スタッフの皆んな、アイウイルカムバックアゲインツーウエモンズハート‼︎

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2017年7月24日(月) 19:05

7/25a.m.8:45

ハートシート移植手術まで後13時間を切った。今夜は手術イブだ!
今日は、教授回診の後放射線を使ったシンチを朝、昼二回。体力維持のリハビリ。澤先生による術前説明。上半身の剃毛とシャワー浴び。髭も剃った。
その間家内はパンツの洗濯に始まり、紙オムツ二枚、メモリ付きのコップ、ティッシュ、ボディソープ等々の調達に始まり、手術室とICUに入るのに必要な品の仕分け。更に明日の部屋移動の為の片付けと荷造り。
あー忙しい!(ヒマだヒマだのバチか当たった!)
午後3時半。今度は飛び入りで、台湾のテレビ放送局の取材が入る。
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日本人の通訳を入れて三人のスタッフだ。
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日本の心臓血管外科の先端医療を牽引する澤芳樹教授の記者会見を取材に来たクルーだ。
当の澤先生のハートシート移植手術を明日に控えての心境や発症から澤先生に出会う迄などを聞かれた。
この手術は既に50例以上実施されていて、全く心配無く楽しみだ!と答えたけれど、嘘偽り無く楽しみ!だ!
術前説明で澤先生は、心筋症で苦しんでいる人を一人でも多く診てあげたいとおっしゃっていた。その言葉を頼りに、「私と同じ病気で苦しんでいる北海道の友人の酪農家がもし、先生の診察を希望した場合、どの様な手続きが必要ですか?」と聞くと、「阪大病院は飛び入りは受け付け無いので、地元の先生の紹介状を貰って来て下さい。どなたでも大丈夫ですから」と、気さくにおっしゃってくれた。
拡張型心筋症で苦しんで居る方、是非阪大病院の澤先生を訪ねてみて下さい。教授の澤先生始め、堂前先生、中江先生はいずれも偉ぶらず、とことん我々の疑問に答えて頂けます。
是非尋ねてみて下さい。

さて、このハートシート移植手術の説明です。
左脇腹のあばらに沿って15〜20センチ開胸し、使い古した風船の様に延びて収縮力の落ちた左心室の表面に、シートを5枚特殊な糊で貼り付け、さらにつぎ当てのように心臓の表面に縫い付けるそうだ。
そうすると、短時間の内に血管が伸びて来て酸素や栄養を受け取る様になるらしい。そして次にその移植細胞からサイトカインとかいう物質(何者かわからんけど...)を出し、弱った心筋を力強く助け始めるそうだ。
画期的な先端医療では有るが、術後の守るべき事はたくさん有りややくじけそうでもあるけれど(例えば体重を落とせとか...)、心筋症の進行を止められるのだから、甘えては居られない。
先生からは、今回の移植手術は心筋症の必然的病状の進行を食い止める為であって、病気が治る訳では無い!と、諌められている。

何れにせよこの病気で「失われた老後」が、今回のハートシート移植と言う先端医療に出会い「取り戻した老後」となるのだ!

移植手術まで、後11時間‼︎

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2017年7月23日(日) 19:26

家内がやって来る!

暇だ!
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とは言え、昨夜20時から24時間の蓄尿を続けている。まだ2時間と25分程ある。
もう一つは、三夜続けての睡眠時無呼吸症候群の検査機器を装着して寝なければならない。此れは明日起床と同時に終了だ。
でも矢張り暇だ‼︎
そこでやはり読書でしょ!
一昨日、札幌から一冊の本が送られて来た。
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「サピエンス全史」だ。
「ビッグバン」から始まるこの宇宙の歴史に始まり、生命が誕生し、その生命のひとつがわれわれ人類の歴史が始まる。わずかでは有るがその進化の痕跡を頼りに、今現在の人類の思考、行動と比較検討しながら書き進めている。
その痕跡から、いかようにも想像を膨らますことが出来、だからこそ安易な断定を諌めている。
現代人が共有している一般的な、進化論と対比していて分かりやすい。
「なるほど!」「そうだよなぁ!」の満載である。
実に面白い!

そんな今日の午後の暑い中、明後日の手術に向けて家内が病室に到着!
少しの間部屋で涼んだ後、1Fのローソンで手術に必要なものの買い物。その後subwayで家内の遅い昼食に付き合う。昼食の済んでいる私は、アイスコーヒーのMサイズ+α...

手術まで残す事、後1日!

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