相性
今回入院した11日、術前の幾つかの検査に血液検査が有った。
入院の荷物を所定の位置に片付けて病衣に着替えて待っていると、
若い看護師がやって来て「今日日中担当の○○です。これから採血させていただきます。」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
「腕のバーコード見せて下さい」
「ハイ」とネームバントをつけた左腕を差し出す。
「ピッ」とバーコード読み取り機が鳴る。
「お名前をお願いします」
「ヒロセ フミヒコです。」
「それでは、サンプル4本採らせていただきます。」と、血液採取作業が始まる。
始めは左腕に「チクッ.........」。
そして右腕にも「チクッ......」
イヤイヤ、やっぱり左腕かと「チクッ...」
3度目の正直。ようやく4本のサンプルを採取し、終了。
そして10分後先程の看護師が枕頭に来て「ゴメンなさい。後2本採血させて下さい」と済まなさそうに言うでは無いか。
「いっぺんににやれよ」と心の中で悪態をつきながら、口では「イイよ」と大人の対応だ。ダテに年は喰っていない。
と、言うか「近頃、些細な事でにでも声高に文句をつける高齢者クレーマーが増えている」とのニュースが脳裏に浮かび、口をつぐんだだけだが...
先程の"3度目の正直"の左腕を差し出すと、もたつきながら「チクッ......」
またまた「ゴメンなさい、今度は手首見せてもらえますか」と右腕の肘から先、手首、手の甲までまさぐり、
ようやく決断したように「この手首の血管から採らせて下さい」
そして「チクッ...」やっとの様に、採血が始まって安堵したのか件の看護師が「ゴメンなさいね、どうも血管との相性が悪い様ですみません」と、よく有る事の様に言うでは無いか。
「お前が下手くそなだけだろう」の言葉を飲み込みながら「相性ってあるんですか?その言い方を借りると、担当医が胆嚢切除手術中、この患者との相性が悪いからと言って身体の中をズタズタに切り開くのかな。
まさかそんな事無いよね⁈」と、嫌味な言葉がつい口をついた。
(この言葉、高齢者による理不尽なクレームかな。"
せめて「下手ですみません」と素直に謝ってくれたら、オレだって「こんな腕でいいなら、上達するまで何度でも貸すよ」と言うくらいの度量くらい持ち合わせているんだ
(威張るほども問題じゃありませんが小さい人間ですみません)
そして数分後、別の年嵩の看護師がやって来て「すみません、サンプル足りなかったようなので、もう一度採らせて下さい」と言うでは無いか。
果たして仇を取りに来たか⁈と思いつつ右腕を差し出すと「チクッ」。
「はい終わりました。ありがとうございました」とアッという間に帰って行くではないか。
「相性が悪い」なんて逃げていないで、素直に技術を磨けよ。ねぇ看護師さん