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2025年5月29日(木) 05:49

消費者との溝埋める

 今朝の業界紙11面からIMG_5370.jpeg
「消費者との溝埋める」とは、今の米騒動を受けての、千葉県船橋市の松戸市長の言葉だ。
農家が再生産できない米価で大変だった時は、誰も問題視していなかった。
野菜がこんなに安く売っているとテレビで報道している時、誰一人として「農家はこんな値段で売っても大丈夫ですか」とは言わない。
反対に米や野菜が値上がりすれば、生活に直結しているだけに消費者は敏感だ。
 その溝を埋める為には、消費と生産の距離を近づけることが必要。とある。

おおいに、大賛成だ‼️

今から40数年前、1980年代の事。
ガットウルグアイラウンドで例外なき自由化が採択され、日本は牛肉オレンジの自由化を受け入れた。
その結果日本農政も、乳価も国際競争力をつける為経営規模拡大や一頭当たりの生産量を増やすなど、
価格低減のための経営努力が必要と酪農家にプレッシャーをかけていた。
そんな動きを反映してスーパーなどでは牛乳の特売や安売りが続いていた。
そんな折、スーパーのバイヤーが「1円でも安く、と言うのが消費者ニーズですから」と言う声がテレビから聴こえてきた。
また、時代の寵児スーパーダイエーの中内社長も「我々はきちんと利益を出しており、損をしてまで牛乳を売っている訳ではない。」とのたまうばかり。

 当時労働環境も議論されていて、日本人の年間総労働時間は2,500時間余り。
欧米などは既に2,000時間を切り、夏には1ヶ月以上の長期休暇を取るのが当たり前で
1,500時間を切ろうと言う勢いで、日本人は働き過ぎとも言われていた。
その結果、完全週休2日制が導入された。

 翻って、休みの無い我々酪農家は、規模拡大も相俟って一人当たりの労働時間は4,000時間を優に超え、
夫婦で7,000〜8,000時間もの労働を強いられている。
それもサラリーマン一人の稼ぎに追いつけない状態だった(今でもそうだが......)

労働時間一つを取ってもこれだけ不公平な社会で、更に安い牛乳をと言う世論に疑問を感じでいた。

漸く結論めいた話し。

そこで「消費者に酪農の現状を伝えなきゃ」と言う思いで、
1991年(平成3年)、一般消費者が自由に見学できる、見学室付きの搾乳施設、名づけて「見るキングパーラー」を建設する。
そして1999年(平成11年)広瀬牧場ではジェラートショップ「ウエモンズハート」を開設。
全国では消費者に生産の現状を知ってもらう活動「地域交流牧場全国連絡会」が組織される。
2004年(平成16年)には、生産者自からも発信する事の重要性に鑑み、食育基本法も制定され現在に至るのだ。

つまり、生産者も消費者に生産現場を開放し、現状を伝えることも「農作業」の一環として実施すべきだ。

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