終わった人
つい最近SNSで、「迷惑な終活」と言う本が紹介されていた。
作者は内館牧子と言う高名な女流作家であるが、女性初の横綱審議委員と言う肩書や、相手の心を射抜くような決して美人とは言えない鋭い眼光の女性と言ったイメージが先行して
彼女の作品は終ぞ手に取ることは無かった。
しかし、終活適齢期のお年頃を迎えた自分にとっては、「一人称の終活」ではなく、「迷惑なと形容される、第三者を巻き込んだ終活があるんだ」と心惹かれ、手に入れた。
75歳の夫と71歳の妻所謂老夫婦の老後の考え方の心の襞を巧みな筆致で鮮やかに描き、「あるある」とか「そうだそうだ」と
一気に読み進めてしまう。
内館牧子を初めて理解した。
その帯には「高齢小説」シリーズ累計120万部とあるが、さもありなん。
シリーズを紹介する最終ページには、定年って生前葬だな。これからどうする?と言った内容の「終わった人」があった。
定年を迎えて尚、老いきれない男の悲哀を描いた小説がある事を知り、その本を求めた。
これまた読みはじめると、自分自身、主人公ほど華々しい生活を送って来た訳では無いけれど、最近の心の動きが見透かされている様な内容だ。
本の帯には「"あなたのこと"が書かれています。」とか「自分が、夫がモデルでは、と言う反響やまず。」とあるが、読んでみると
当にその通り。この本も一気に読んでしまった。
その内館牧子が昨日心不全で亡くなった。
77歳だったとか。
彼女は終活していたんだろうか⁉️





