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2023年2月 2日(木) 15:09

はつばあちゃん

 昭和38年2月2日早朝、小学1年の妹が「兄ちゃん、はつばあちゃんが死んだみたいだよ」と
部屋に飛び込んできた。未明のまどろみの中での妹の声に「えーッ、まさか⁉︎」と言いつつ布団の中でグズグズしていると、
妹は焦れたように「兄ちゃん!ホントだっては!早く早く!」と急きたてる。
妹のただならぬ様子に漸く跳ね起き、階下のばあちゃんの部屋に行くと、緑ヶ丘の開業医でかかりつけ医の
佐藤先生が診に来てくれていて、丁度家人に臨終を知らせている所だった。
 はつばあちゃんは明治9年生まれで私の曽祖母。
数えで88才の高齢であったが、耳が遠いくらいで病気知らず。前日の晩御飯では
「おいしい、おいしい」と洋皿一杯のライスカレーを平らげていたので、はつばあちゃんの死は
余りにも突然すぎて、信じられなかった。
 おばあちゃん本人も、自分の死に気付いていないのではと思うくらい、穏やかな顔をしていた。
 
 時は1963年。東京オリンピックの前の年で自分が小学5年生。
丁度60年前の今日の事だ。
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